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滲出性中耳炎

滲出性中耳炎

1.滲出性中耳炎とは、中耳腔(鼓膜よりも内側)に液体がたまっている状態をさします。従来5~6才に多くみられるといわれていましたが、最近は1~3才にも多くみられます。大人になってからかかることは稀なので、小児のうちに治療しておかなくてはなりません。

2.滲出性中耳炎の症状は難聴です。中耳腔に液体がたまって鼓膜が動きにくくなり、難聴を引き起こします。全く聞こえなくなるわけではありません。難聴の程度としては軽度から中程度です。「え?」「なに?」と聞き返すことが多いとか、テレビのボリュームをあげたがるとか、聞き間違いが多いということで気がつきます。年長児では、「耳がつまった感じがする」「自分の声が耳に響く」「耳鳴りがする」などと訴える場合もあります。1才未満の赤ちゃんが急性中耳炎にかかると、治りきらずにそのまま滲出性中耳炎に移行する場合が多くみられます。赤ちゃんは自分から「聞こえにくい」とは訴えません。風邪の症状は良くなっているのに、グズグズいって機嫌が悪いとか、よく耳に手を持っていくなどの症状があると要注意です。痛みが乏しいのが特徴で、このため見過ごされ易いのです。

3.正常な耳では、中耳腔(鼓膜の内側)にたまった液体は、耳管という管を通って咽頭へと排泄されます。耳管は、本来その繊毛細胞の働きによって中耳腔の物質を咽頭へ排出したり、唾液を飲み込んで耳管が開く際に、中耳腔の空気を入れ替えたり、中耳気圧を外気圧と等しく保つ働きをしています。したがって中耳腔にたまった液体も、耳管が正常に働けば、すみやかに耳管を通って排泄されるわけです。エレベーターで降りてきたり、山から下りてきた時に、急に耳の詰まった感じがとれるのがこの耳管の働きです。

4.滲出性中耳炎の治療は保存的には、耳管通気(子供にはゴム球による「がっこう通気」)を行います。保存的にはしばらくこの治療を続け、改善しなければ鼓膜切開による中耳腔の貯留液の排出を行います。鼓膜切開を行うことは、単に鼓膜の孔を通して内側にたまった液体を除去するだけではありません。鼓膜の孔から空気が入り、耳管は開き易くなり、耳管本来の換気能と排泄能を取り戻すことができます。缶ジュースに2個の穴をあけると飲み易くなるのと同じです。中耳腔に貯留液を認めれば、頻回に鼓膜切開を施行することもあります。耳管通気や鼻処置も併せて行います。適応があれば、鼓膜チユーピング、アデノイド切除術、扁桃摘出術も行います。

5.鼓膜切開をした後でも、耳漏がでていなければ、耳にお湯が入らないように気をつければ、お風呂に入っても結構です。鼓膜が閉鎖すれば、医師の許可があれば、水泳も可能です。

6.鼓膜チユーピングとは、鼓膜に小さな管(チューブ)を装着して、中耳腔と外気との間に交通路をつくってあげる手術で、大人なら局所麻酔で出来ますが、小児は全身麻酔が必要になります。耳管の咽頭側の開口部にあるのがアデノイドで、それが大きいために耳管機能が落ちているのなら、アデノイド切除術を行います。鼓膜に挿入したチューブは、自然に抜けるまで、入れっ放しにしておくことが多いようです。大体一年位で脱落してしまいます。鼓膜チューブを挿入した後は、1ヶ月~2ヶ月に1度の頻度でチューブがきちんと入っているかどうかをチェックします。

たてはら耳鼻咽喉科クリニック
院長 蓼原 東紅

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